2009年9月30日水曜日

膠質液と晶質液

 へスパンダー、デキストランなどの膠質液と生食、ラクトリンゲルなどの晶質液について考えてみます。特に急性期や集中管理領域において、これらの使い分けが議論されていますが、ICUブックに以下の記載があります。
 
    「循環血液量補充に膠質液で250ml必要な場合、晶質液では1000ml必要。」

 要するにへスパンダーより4倍量分だけ生食の方が血管内に残りにくいようです。私が見てきた限り、麻酔科領域の先生はへスパンダーを愛用する傾向があるのに対して、外科系の先生はラクトリンゲル等を使う傾向があります。それは、脱水、大量出血、膵炎などどの病態でも当てはまるようです。私見では、急速静注する場合(ショックなど)は、そんなにすぐに血管外にもれないので、どちらでも同じではないかとかんがえていますが。
同じ膠質液でも脳梗塞の治療では(血栓症)デキストランを使い、へスパンダーは使いません。これらの違いは、デキストランの方がへスパンダーより血漿浸透圧を上げるということのようです。ただ、作用時間としてはへスパンダーの方が長いようです。
 
 点滴は、日々の診療で最もよく使うもののひとつですが、使い分けは人それぞれ、難しいです。

2009年9月28日月曜日

ストレス潰瘍予防

ストレス潰瘍予防について考えてみます。例えば、脳卒中の患者が入院したときに「マーゲンプロテクション」と称して胃薬を入れることが多いと思いますが、その選択基準には非常に個人差があるようです。「全て、PPIだ」という人もいれば、「脳出血の場合はPPI、脳梗塞の場合はH2-blocker」という人もいます。「作用時間が早いからまずはH2-blocker」という人もいました。ICUブックによれば、「胃粘膜からの出血予防に対してPPIはH2-blockerより勝るということはなく、むしろ、腸内での細菌異常増殖を起こすリスクは高くなる。」とかかれていました。また、胃酸を減らすことで消化管細菌叢に影響を与え、誤嚥性肺炎等のリスクが上がるということはよくいわれています。脳卒中後の生命予後に肺炎が大きく影響することを考えれば、これら薬剤の選択をもう一度考える必要がありそうです。

2009年9月27日日曜日

全人的医療

 先日、研修時代の先輩の結婚式に行ってきました。そこで、かつての指導医が「全人的医療を目指して医者を育てており、私もその実践をしています。私は血液内科が専門ですが、循環器内科の仕事もできます。」と来賓の挨拶をされていました。その真偽は定かではありませんが、おっしゃることの意味は痛いほど分かります。専門科をうたって医療を行っても常に肺炎、不整脈、糖尿病等の一般的トラブルがつきまとい、それに対処できなければ何もできません。呼吸器、循環器、糖尿病内科の専門医ほどの知識は必要ないにしても最低限の知識は広く保っておきたいものです。
 その対処法として怠惰な私が重宝しているのは、各分野の友達を持つことです。それにより、自分が何十時間勉強して得られるよりも貴重な情報が5分で得られます。今後も、この対処法を大切にしつつ、愛想を付かされないように自分の分野くらいは逆に情報提供できるように努力しようと思っています。

はじめまして

毎日の生活に追われていますが、ブログを始めてみます。いつまで続くか分かりませんが、よろしくお願いします。