2010年4月21日水曜日

続き

そうして、各県ごとの医療は、教授を中心とした人事で場所による格差が少なく安定した状態で行うことができていました。

医師の個人個人は医局に属することで、自分の思う通りにはいかないものの、安定した職を得たり、大学に属することで博士号をとったりなどというメリットもありました。

博士号とは普段の臨床にあまり関係がありませんが、博士号がないと官公庁の病院で部長になれない、などの現状もあります。

というわけで、一昔前の医師たちはほとんどが医局、大学に属して、先輩たちの流れにのって指定された勤務地、研究機関で働き、ごく自然と医師としての経験を積み、学位をとり、と階段をあがっていきました。

以上のような持ちつ持たれつの関係が日本のほとんどの地域で医療を支えてきました。

それが、今、崩壊を迎えています。

2010年4月12日月曜日

昔の弊害

前にも少しかきましたが、県ごとの医療体制、教授を頂点とした医師派遣システム、これらからの弊害は少なくありませんでした。

人事権を持つというのは非常に恐ろしいものであり、その家族の運命、人生まで変えてしまうことがあります。例えば、教授の人事(医局の人事)でどこそこの病院勤務となった医師はまず逆らうことなくそこの病院で勤務します。次の人事異動が出るまで勤務することになるでしょう。自分の希望が医局の人事より優先されるのは極端な話では辞める時です。医師の家族は異動に伴い、引越しをするか単身赴任を選ぶかになります。

そんなことは医師以外の職業でも普通にあるではないか、との反論があるかもしれません。確かに人事異動の強制力についてはそうですが、問題は勤務地です。例えば一般企業の場合、とんでもない僻地に転勤なんてことはまずないと思われます。とんでもない僻地にオフィスはありません。しかし、病院はとんでもない僻地にも必要なため、離島勤務なんてことも普通にあります。これが一般企業の人事異動との大きな違いです。

逆にいうと、僻地医療をもまかなうために、各県の教授は十分な「持ち駒」を確保する必要があったのです。(持ち駒を確保するための方法は後日述べます)しかし、医師側は希望しないような環境、地域での勤務を余儀なくされ、時には半永久的に続く場合もありました。せっかく医師になったのに、地域医療、県のためといった大義名分によって働く場所さえ選べないことが普通にあります。

このような「職場を選ぶ、希望する権利」が侵されていることが一つ目の弊害です。

2010年4月8日木曜日

昔の話

では、なぜ医師は「属する」ようになったのでしょうか?

正確な年代は調べていませんが、日本は各都道府県に医学部を作って
各都道府県ごとにその医学部を中心として医療を推進しようという動きが
ありました。

その医学部が自分たちの都道府県の医療を責任を持って守ってきたわけです。
その医学部の中で、それぞれの専門科が都道府県(以下、県とします)内の病院に
医師を派遣して医療を行い、難しい症例や大きな手術などは大学病院へ紹介するという
システムをとってきました。これが悪くいわれることの多い教授を頂点とした医学部のピラミッドシステムです。

このシステムは「白い巨塔」などで代表されるように、悪くいわれることが多いのですが、このシステムのお陰で日本のどこにいても最低限の医療を受けることが出来て、また適切にさらに高度な医療を受けることができる病院を受診することができたのです。

この利点、恩恵を忘れては現在の医療の問題を語ることはできません。

勤務医はほぼ全て大学の医局に属して、多くは教授の人事で地方の病院などに転勤となり、
また大学病院に戻ったり、などを繰り返して最終的には開業したり、地方の病院の役職についたり、大学に残って教授などになったり、と分かれていったのです。

この人事が教授の独裁となることで権力が集中し、所属する医師が望みどおりの研修や研究、臨床ができなくなるという医局が増えてきたのが大きな問題でした。

しかし、所属する医師も医局に属することで、職の安定、学位修得など大きなメリットもあったことを忘れてはいけません。繰り返しになりますが、この県ごとの医療体制のお陰で、地域差の少ない医療の質を保ってきたのです。

おそらく、世界中探してもこのようなシステムはあまりみられないと思われます。

では、なぜこのシステムがうまくいかなくなったのでしょうか?
教授を頂点としたピラミッド型のシステムが「白い巨塔」のような極端な例を除いても評価されなくなったのは何故でしょうか?

2010年4月6日火曜日

医師の所属

 最近よく思うこと。
医師は開業医以外は大抵、どこかに属しています。
学会とかいうのではなく、大学医局、民間病院、地方自治体などなど。
そのメリットは何でしょうか?また、それはどのように変わっていくのでしょうか?

社会人は会社等に属しているのだから医者も当然ではないのか、と考えるかもしれません。
しかし医者のように資格を持ってする仕事でここまでどこかに属する人が多いのは珍しい
と思います。例えば、美容師、料理人、弁護士などなど。

不思議なものでみんながそうしていると「属する」ことが当たり前になって、ほとんどの人が
疑問を持ちません。

もっとも、みんながそうしてきた背景には「属する」ことに意味があり、「属する」ことで
成し遂げてきたものがあるはずです。

その背景を忘れて、あるいは知らずに、「属する」ことが当たり前と思っていると
多くの弊害を被ります。それは、個人でも全体でもいえることです。

この内容について少し考察してみます。

2010年4月4日日曜日

久々

更新します。
続けるのは難しいものです。

さて、蔵書管理に「私本管理plus」というソフトがあってびっくりしています。
本の番号(裏にあるISBNナンバー)を入れるだけでアマゾンにリンクして
タイトルから著者、出版社まで自動的にリストされます。
タグを付けたりして自分で検索の条件を決めることも出来ます。

同じようなシステムで文献管理(PDF)のソフトを探したところ、
Fire FoxのアドインでZoteroなるものを見つけました。
これまたすごいソフトで今まで悩んでいたPubMedからの情報管理が
実にスマートにできます。

さて、今回は続けることが出来るでしょうか??