2010年4月12日月曜日

昔の弊害

前にも少しかきましたが、県ごとの医療体制、教授を頂点とした医師派遣システム、これらからの弊害は少なくありませんでした。

人事権を持つというのは非常に恐ろしいものであり、その家族の運命、人生まで変えてしまうことがあります。例えば、教授の人事(医局の人事)でどこそこの病院勤務となった医師はまず逆らうことなくそこの病院で勤務します。次の人事異動が出るまで勤務することになるでしょう。自分の希望が医局の人事より優先されるのは極端な話では辞める時です。医師の家族は異動に伴い、引越しをするか単身赴任を選ぶかになります。

そんなことは医師以外の職業でも普通にあるではないか、との反論があるかもしれません。確かに人事異動の強制力についてはそうですが、問題は勤務地です。例えば一般企業の場合、とんでもない僻地に転勤なんてことはまずないと思われます。とんでもない僻地にオフィスはありません。しかし、病院はとんでもない僻地にも必要なため、離島勤務なんてことも普通にあります。これが一般企業の人事異動との大きな違いです。

逆にいうと、僻地医療をもまかなうために、各県の教授は十分な「持ち駒」を確保する必要があったのです。(持ち駒を確保するための方法は後日述べます)しかし、医師側は希望しないような環境、地域での勤務を余儀なくされ、時には半永久的に続く場合もありました。せっかく医師になったのに、地域医療、県のためといった大義名分によって働く場所さえ選べないことが普通にあります。

このような「職場を選ぶ、希望する権利」が侵されていることが一つ目の弊害です。

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